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シャガール展 [ART]

このところ休みは、老齢な母の通院とは言えそれは時間と気力を奪われるものです。
今更ですが、健康がどんなに大切なものか身に沁みて感じるようになりました。
何度もお運びを頂いた皆様、どうにも更新が停滞気味で誠に申し訳ありません。

そんな折、やっと『シャガール展』行って来ました。
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マルク・シャガール『日曜日』1952~1954年

前売りは購入していたのですが、今回も下手したら流れるかな?
『モネとジヴェルニーの画家たち』は結局行けず仕舞で終わってしまいました。
ココで流しては勿体無い。

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マルク・シャガール『ロシアとロバとその他のものに』1911年

この作品でひとつ新たに知った事実は、左隅の黒い空間に赤外線カメラで初めて太陽が書き込まれている
という事実。恐らくはこの年の日蝕を表現したものだろうという、うん、これは子供の頃から見ていた画集にも
全く出ていなかったこと。

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マルク・シャガール『赤い馬』1938~1944年

ユダヤ人であったシャガールはアメリカに亡命。そのアメリカで故郷のロシアを思って描かれたらしい。

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マルク・シャガール『彼女を巡って』1945年

愛妻ベラを亡くし、この年から花嫁と花婿や恋人たちをテーマに書き続ける。

この頃の絵が一番好きです。
シャガール自身は最愛の妻を亡くして悲嘆に暮れていたのでしょうが
望郷の思いでロシアを綴っていた時代よりも、ベラを思って描いていた時代が最高。
シャガールの作品はかなり多く、次の90歳になっても描き続けていた中でも
群を抜くのがこの時代のものだとずっと思っていました。

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マルク・シャガール『イカルスの墜落』1974~1977年

・・・が
・・・・・・が、なんと油彩の少ないこと(^^;
ポンピドー・センター所蔵作品って、これ・・・・だけ???

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マルク・シャガール『シリーズ・モーツァルト魔笛、背景幕』1966~1967年

今回の展示作品、油彩は20点
それ以外の50点はすべてこの歌劇『魔笛』の幕デザインや衣装デザインの素描。
これにはかなりがっかりしてしまいました。
他ロシア・アヴァンギャルトの画家としてゴンチャローワ、ラリオーノフ、カンディンスキーがちらほら
それも円熟期とはとても言える作品ではなく、あまりにもな消化不良に陥ってしまいました。

『誕生日』は?『女曲芸師』は?『審判』は?『村とわたし』は?

シャガールと聞いて飛びついたのがもともと今回の失敗。
作品と所蔵元を帰宅してからずっと調べてみると、わたしの見たかった作品の殆どが
『ニューヨーク近代美術館』に納められていました。(ホテルはココの近くだったのに!)
訪NYでは、メトロポリタン美術館だけしか行っておらず、今頃地団駄踏んだってどうにもなりません。

ああ、いやいや、そんな贅沢言ったってキリが無いんだわ。

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マルク・シャガール、素敵なじいちゃんですね。
ベラは彼に愛されて、こんなに描かれて きっと幸せだったでしょうに。

応援サポーターとか称して、最近は若手のタレントなどをこういう絵画展に引っ張り出しているようですが
それってどうなんでしょう?
そもそもこういう美術展にそのタレントは必要なんでしょうか?
そんな所にお金をかけるのなら、そのお金こそを削ってでも、入場料を安くし
子供やご高齢の方々は無料にすべきではないかと 毎回思います。
メトロポリタンでもたくさんの方々が絵を楽しまれていらっしゃいましたが
マナーがどなたも素晴らしい。
これが国内、日本の美術館になると必ず平気で人の視線を遮る、前に入ってくる。

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絵画展には行きたいけれども、人ごみは嫌。
人間は好きなのだけど、無神経な人は許せない。
こんなんじゃあ、ますます田舎引きこもりになりそう(笑)


全くの別件ですが、最近何を聴いているのか?と言うと
半世紀全く聞いたことのない なんと『演歌』(爆笑)
先日、やっとこ津軽三味線の舞台の打ち上げをやりまして、
その際、プロ歌手;泉清香さんとごいっしょにヘレン・メリルを唄って盛り上がったハズが
なぜかこの曲をプレゼントされました(笑)彼女がプレゼントしてくれたのは
坂本冬美というど演歌歌手のものだったのですが、まさかそれをココに貼るのはなぁと
別バージョンを貼りました。
車ではド演歌坂本冬美で、ガンガン飛ばしております(笑)




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鴨居玲展 [ART]

以前から、気になっていました。
おかしいなCMなんてやってないのにどこで彼の絵を見たんだろ?
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<1985年 勲章>
没後25年ー終わらない旅、鴨居玲
この暗い顔、無気力な視線、呆けた唇。
なんでこの人はこんな闇を背負ってるんだろう?
この空き缶のキャップ4個を勲章と呼ぶシニカルな表現。
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<1982年 私>
醜怪とも言える今まで書き続けた人物を総動員した絵。中心にいるのは鴨居自身。
黒い世界なのだけど、その黒の多種多様さに釘付けになってしまいました。
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<静止した刻>
これは初期の作品、1968年。人間の表情にまだ余裕がある楽があり、喜があり、笑みがある。
この絵がきっかけで安井賞を受賞し画壇デビューとなる。
でも、とても不思議。この絵にはさほど惹かれない。
苦悩している時の絵こそ、なぜか迫ってくると感じるのは私だけでしょうか。
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<1984年 出を待つ道化師>
驚いたのがその技法。
キャンパスをある程度の色で下塗りをするという技法は有り触れてあるのですが
せいぜいびっくりする色で、黒という手法があります。
私も油をやっていた時代、奇をてらって黒や青、ある時は砂を塗り込むという下塗りをすることはありましたが
鴨居のそれは真っ赤な下塗りなのです。
赤は、かなり上塗りの色に影響があるのでできれば避けたい色です。
ところが鴨居はその赤をずっと下塗りで使う。
だからこの黒になるんだ。これにはアングリ。
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<1984年 酔って候>
会場にも色んな書籍にも鴨居の最後の自殺については書かれていません。
が、あっさりとWikiには自宅にて排ガス自殺と書いてありました。(享年57歳)
これらの写真は画集を買ったものを写した為に作品の素晴らしさを全く反映できていません。
この『黒』は、この『赤』は本物を目にして初めて伝わる世界なのだな・・・と
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鴨居玲、今年存命ならば82歳。すごい絵を描く人がいたんですね。
まいったな、今夜はアルコールを口にする気持ちになれません。
一番安価な画集を買ってきました、今、目の前に開いています。
会場には80点にも登る彼の作品が溢れていました。
あんなに素晴らしい裸婦が描けるのに、あれがうまく行っていない=行き詰ってるという解説に
全く納得できませんでした。彼の求めているものは何だったんだろう?

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今日行った場所は、リバーウォーク北九州の中にある北九州美術館分館。
面白い商業施設なのですが、彼の絵に打ちのめされてしまって
全くその後写真が撮れなくなってしまいました。
ランチも喉を通らず、焼カレーにしたのは失敗でした。(^^;生パスタは連れの”いっち”の分。
お互いに食べっことかもしましたが、やっぱり味がない。ダメだ、ショックが大きすぎる。
北九州美術館・本館ではモネをやっていたのですが、NYで睡蓮のシリーズは見たので
今回は日本の画家を、ということで鴨居玲展行って参りました。

うう~ダメだぁ~食欲が全くない~、アルコール飲めない~、味がしない~(><;
(↑あ、心配しないでください。ショックに弱い性質なので、すぐこうなってしまいますの)(^^;



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