パンの神様

何故だか追われるようにパンを焼いているアタシ。
どうしてだろう？なんでだろう？
ものすごく時間がないのに、もう焼成に入ってるのになぜかそこで気がつく。
｢イーストを入れていない！｣
釜から出てきたのは、無残にもカチンカチンに焼け上がったペストリーたち。
オープンまで、もう15分しかない！！！


そこで、ハっと目が覚める。



皆さん、こんな追い詰められるような夢を見ることはありませんか？
実は、アタシは良くあります。
↑のような夢もありますが（これは昔のバイトに絡んだ夢ですね）
｢明日は大学の卒業式なのに、必須単位がひとつ足りない！｣とか
｢郵便局がもう閉まるのに、郵送する原稿がプリンターに詰まって出てこない！｣（笑）

この前タルトを焼いた時、この賞味期限切れの強力粉見つけてしまいました。
1年半もパンを焼いていない？いえいえ、そんなことは在り得ません。
リクエストを受けて、昔ほどではないですが、結構焼いてたはずなのですが
これはきっと『パンの神様』がお怒りになっているのだ・・・・と。



バターをレンジで溶かす50秒、砂糖30g、塩小さじ1（無塩バターなので少し大目に）
ここに溶き卵1個投入。

こんなに切れた粉を使うのは初めてですが、ダメ元で焼いてみましょう。
今日は基本のスイートロールです。
『神様』とは大仰なと思われるでしょうが
まさにアタシを育ててくれたのはパン、パン屋さんだからなのです。




牛乳はかなり熱めに暖めます、250～260cc。

アタシは母子家庭で、高校に行かせてもらえただけでも有難い
そういう環境で育ちました。制服を買うのもたくさんの教科書を買うのも
どんな思いでお金をかき集め　母が準備してくれたことか。




さきほどのバター、砂糖、塩、卵、牛乳の液体へ
振るった強力粉400g、ドライイースト小さじ2、投入。

自分の家庭の経済状態を垣間見た時、浮かれまくって公立高校に入学した自分を恥じました。
高校に行くことは当然、さらには大学に行くことさえ夢想していた15歳のアタシ。
そのギャップに、現実というものに打ちのめされたと書いたら綺麗すぎですね。




さぁ、ここからが一気です。
手こね　です。
これは100回叩いたところ。

それから高校を辞めるまで、それほど時間はかかりませんでした。
単純に言うとぐれた、やさぐれたんです。
『どうせ大学には行けないんだ。じゃ、高校に行ってどうなる？』
『働いて毎日の暮らしを助けた方がまだマシってもんだ』




200回叩き、30回位練ったところ。
冬ですから生地の温度が下がらないうちに勝負しなくてはなりません。
ここからはオーブンで一時発酵、1時間。


高校を中退して社会に出ると　それはイコール『中卒』
社会は『中卒』の何もできないただの女子を人間扱いはしてくれません。
どこの求人を捜し歩いても、バイトのひとつもパートのひとつも
どの会社も雇ってはくれませんでした。




一時発酵の待ち時間に、メロン生地を作ります。
材料はバター100g、砂糖80ｇ、卵1個、薄力粉220g、BP小さじ2/3、バニラエッセンス


見つかるのはものすごく短い臨時雇いばかり。
かまぼこの試食販売、豆を袋詰めする仕事、Gパン屋さんの売り子、
喫茶店の皿洗い、巡業動物園の掃除係・・・この時のバイトの数のべ27種類（笑）
それでもどこでも　求められるのは学歴『高卒』




バター攪拌、それも今回は得意の割り箸で（笑）
白くなるまで混ぜて、砂糖を3回に分けて投入。

定時制高校の門をくぐって見る。
だけど、そこにあるのは勉強とか、学校とか言うものではなくて
荒れ果てた愚連隊のたまり場。ただただ、恐い連中。
だけど、全日制高校ドロップアウトで、皆よりは少し年上のアタシに
なぜか彼らは優しく、よく先生に挑みかかって授業を潰してはくれたけど（笑）
いっしょに卓球したり、夜のグランド走ったり（一応、体育の授業があるのです）




卵を投入。
これも3~4回に分けて。


大学資格入学検定を受けたのもこの頃。
全科目合格したものの、これを履歴書に書いても
『中卒』には変わりなかった。これには愕然。




薄力粉220ｇ、BP2/3。
ふるって投入。これも数回に分けて。

それでも良いと雇ってくれると　それが『パン屋』
毎朝4時起きは辛かったけど、ココで基本を叩き込まれた。




さっくりまとめて、ビニール袋に入れてチルド室で休ませる。

この頃に出会ったのが定時制に単位通信制高校から赴任してきた恩師K。
当時、福岡県で唯一の通信制高校のS高。
「おまえはこんなところに居てはいかん！」
と　ブタが木に登る作戦にまんまと乗せられる。




一次発酵終了。
大丈夫かな。


通信制高校に行ってみてわかったこと。
みんな「高卒」が欲しいんだ。
社会に出て、「中卒」というだけでどんなに肩身が狭い思いをしてきたか
そういう人がわんさかと居たこと。
みなそれぞれに事情があって学校に、高校に行けなかった人たち。
看護婦さん、酒の杜氏さん、相撲取りさん、建設会社の社長さん
水商売のママ、病気で高校を辞めた人、主婦、おばあちゃん・・・・・




分割。ベンチタイム10分。
この間もオーブンは発酵温度をキープ中。


パン屋の修行は続きます。
店長は昔ながらの職人で、教えてはくれません。
自分で見て盗め！という人でしたから
とにかく見る、真似る、遣ってみる。
目の前で捨てられたり、潰されたり何度あったことか。
仕事が終わると自分のノートを造り、同じ間違いを二度と繰り返さない。




冷やして扱いやすくなったメロン生地をカットして
平均に潰して、スイートロールの生地にかぶせます。


高校では望めば望むだけのレベルの勉強を教えてくれました。
そこでまた　人種年齢さまざまな同級生たちが
囁く｢ブタが木に登る｣＝｢みやを大学に｣。




成型終了。
グラニューに押し付けて、スケッパーで模様を入れます。
ここから、二次発酵、1時間。


この通信制にいたのは一年。
卒業単位を全部揃えてしまったから、このままでは押し出されるからと
なんの準備もなくセンター試験へ。




1時間の発酵待ち時間。
少しずつブームになりつつある？
ストローで作るエビさん（笑）
赤いのはいただいた見本。
緑は初挑戦　みや初号機。




2次発酵終了、ちょっと仕事ザツなのが見えますね（＾＾；
店長に怒鳴られそうです。



センターで残せた点数、ずっと昔から憧れてた公立大学に挑戦できる点数でした。
その大学には憧れのスタインベックの研究者がいらっしゃると・・・
勿論受験しました。
ここで受けないとか言ったらみんなにドヤされます。




焼成、180度で15分。
かなり白いですが、余熱で色がだんだん出てきます。


2年までの生活と学費を支えてくれたのは、このパン屋と
4種類の奨学金でした。3年からはゼミと教職課程とで身動きがとれなくなり
とうとうパン屋を辞めざる終えませんでした。
この生活と平行して、夜は音楽活動を行ってるという3重生活（笑）
ほとんど寝ていなかったような日々でした。（＾＾；





これから、毎日メロンパンな日が続くのです（爆）






今回は、恥ずかしながら自分の経歴の一部を｢カミングアウト｣です。
面白くもなんもないのですが、アタシはそんなにスマートではない
何度も何度も挫折して、ドロップアウトしてやって来たんだ
だけど、望んでいたら　どこかで誰かがいつも助けてくれた
今は渦中で何も見えず苦しんでいると思うのだけど
だいじょうぶ、　きっとだいじょうぶだから
『だから　自分から、動いて見て。』
と言うことを
伝えたい人がいて、これを書いています。
その方の悩みの一助になれば、何かの参考になれば　そういう思いです。






あと2回焼けばあの粉は使いきれるかな。
ちゃんと使いこなさねば、『パンの神様』がお怒りになりそう（笑）




クロさん
｢あのぉ、逆光だけどよいの？｣
めずらしくカメラ目線です。
はいはい、一緒に遊びましょ♪

白野江植物公園＋門司港レトロ

1ヶ月半のご無沙汰でした（＾＾；
いやはや、あんなこんな色々あり～なでとうとう今日はバレンタインです。
う～ん月日の経つのはなんと早いんざんしょ？（←ものごっつい言い訳）（あぶら汗）
訪問してくださったみなみな様、ほんと～に不義理な管理人で申し訳ありませんｍ（＿＿）ｍ


実はただいま休暇中でして、ところがものすごく荒れた天気という予報。
が！
それを苦にしていたら、どこにも行けない！というので曇天だろうが嵐だろうが
どこかに必ず行ってやる！という意地のよ～なへんな根性が芽生えている今日この頃。
出かけましたのは、北九州市立『白野江植物公園』。
植物公園なら『福岡動植物公園』の方がダントツなのですが、今回はここに下心見え見えの目的が・・・
写真は桜と梅。

え？今頃桜が？
・・・って思われた読者の方々・・・・
ほうら、桜ですやろ？（笑）
寒桜と言うらしいです。園内には他にも60種800本の桜があるのだそうです。

桜、嫌いではないのですが・・・私は今の時期はこっちの方が好きですね。
この木の手前でキャノン砲のようなカメラを備えたカメラおやじが二人ほどいて
｢どうぞ通ってください｣と促されても、じっと何かを待ってるようだし
とっとと通り過ぎてほしいというオーラがビンビン伝わって来るのでこちらとしてもなかなか撮影できない。

平日の金曜日の開園直後とあって、お客さんはまばら。
しかもものすご～く寒い。雨が降っていないだけで北風ばりばりの海沿いの丘を登ります。
まだ咲いていないよ・・・・とわかってはいましたが・・・・

水仙の丘です。２分咲きくらいでしょうか？
この斜面にこれだけの球根を植えたってたいへんだったろうなぁと
急に立ち上がったりしたら『人間おむすびころりん』になっちまうど・・・どうしても『ギャグ脳』です（＾＾；

あまりの寒さに顔とシャッターを押す指が凍りついてど～にもたまりません。
園内のほかの見頃といったらこの『寒ぼたん』。ものすごくい～っぱい数百本あったのでしょうが
どうにも興味が湧きません。どうみたって『ぼたん』は整形美人にしか思えないのです。
偏見だよなとは思いますが、手が入れられすぎて『かさこ地蔵』化しているこの姿は妖怪っぽい。
これも桜かな？こういうツボミの方が咲いてる時よりもかわいいと思うのですが・・・

それでも園内を1時間以上歩いてもとのところに戻ってみると、まだまだいるキャノン砲カメラマン。（左下）
どうやら彼らの狙いは鳥で、花ではない模様。何時間も粘る準備万端の彼らの前にしゃしゃり出て撮るほど
あたしはこの写真を撮る必要はないよな？と諦めました。
本当の今回の目的は、園内にある和室で開催されている『自然配達人』の写真展でした。
武田晋一さんというプロ・カメラマンさんをずっと追っかけしているのです（笑）

体がもう芯から冷えてしまいました。
あっためるなら何が良い？
そうそう、この白野江植物公園は『門司港レトロ』のすぐそばなのです。
『門司港レトロ』と言えば九州ではちょっとした観光地なので
写真どころはた～くさんあるのですが、あまりにも近すぎて有り難味を感じないというか
人工的な手が入りすぎていて全く魅力を感じないというか、今日も今日とてほぼ全域回ったのに
まったく写真を撮りませんでした。今更～どうでも良いかぁ～と通り過ぎただけ（笑）

門司港レトロと言えば、『焼きカレー』
皆さんは『ふぐ』か『寿司』をお召し上がりになるところを、魚を食べることが苦手なわたしはこちら。
上戸綾がTVで発言してからものすごい人気の店『BEAR　FRUITS』
運よくウェイティングが出ていないタイミングでテーブルにつくことが出来ました。
生まれて初めて食べた『焼きカレー』・・・濃厚ですね（＾＾；サラダ付きで950円（単品800円）也。
量は少ないのにチーズと半熟の卵で腹持ちが良い。カレーは甘すぎず辛すぎずであっさりと主張せず。
何度でも食べたいか？と聞かれたら・・・しばらくは食べなくても良いかも？（笑）

フィニッシュはパン工房『天秤座』で米粉パンとメロンパンを購入して帰る頃にはポツポツの雨。
あ・・・・『天秤座』のパン写真を撮るのを忘れて　食べてしまいました（汗）
しまった、・・・・・いつもの食い気が先に出てしまいましたとさ。